【生産者の日常】趣味で使うは針葉樹、仕事で使うは広葉樹の理由

木の事……木製の玩具や雑貨を作るという生業だからではないが、個人的にも木(木工)に触れる機会が多い。

過去には簡単な図面を作成し、自身の子供用にとホームセンターで木材を購入し、ままごとキッチンや学習机を作ったり、知人の依頼でカントリー調の棚やラック、ドールなども作った経験がある。元来、人より手先が器用な方で自分の手で物を作るという行為が苦ではなく、逆にあれこれ考え没頭する時間が楽しく感じられた。

最近では体力的な事もあり大型のものは作らないが、少しの時間とスペースがあれば可能な木彫りを始めた。と言っても決して大きなものではなく、これまた家族から要望ではあるが手の平に乗るような小さなサイズの動物やキャラクターたちである。

趣味と量産品の木材の違い

 

「楽しむ」ための針葉樹、パイン材の魅力

 

 

材料はもっぱら近くのホームセンターの木材売り場の隅にある端材コーナーで、丁度良い大きさのものを低価格でチョイスしてくる。木の種類はやはり2×4の端材が多く、パイン材が中心である。

パイン材はいわゆる松の仲間で針葉樹である。あくまで個人的な意見ではあるが、私はこのパイン材においての木彫りが好きである。いや、楽なのである。木は大きく分けて広葉樹(ブナ・楢・楓)と針葉樹(松・杉・檜)に分けられ、それぞれの成長速度や樹種の密度にもより、針葉樹の方が広葉樹よりも圧倒的に柔らかい。

木彫りではこちらは素人なので道具も限られる(安価なナイフや彫刻刀を使用)。なので素材は柔らかい方が作業は楽でスピードが上がる。ブナや楢などに挑戦した事もあるが堅くて全く刃が立たない。本来は中庸なカツラあたりが彫刻や木彫りに向いていると思われるが、そこにコストはかけられない。但し、あまりに柔らかい素材であると(専門のプロを除き)細かな造形が再現出来ない場合がある。柔らかいがゆえに作業中に欠けや割れが起り易いのである。

「量産商品」に広葉樹を選ぶ理由

話を当社の製品に移そう。当社の製品に使用している木は100%(MDFを除く)広葉樹で、ブナやラバーウッドが多く(稀にメープルや楢)、針葉樹は使用しない。

理由は「加工がしやすいから」である。先の話と逆ではないかと思われるかも知れないが、私の木彫りと商品としての生産では全く内容が異なるのである。私の木彫りについては前述の通りであるが、量産商品で針葉樹を使うと、工場の加工機を使用した場合、刃物の回転数にもよるが、素材が柔らか過ぎて角や表面にササクレやバリが激しく発生してしまう場合が多い。

その場合どうなるかというと、ササクレの部分を必要以上に研磨する事になり、作業の手間と時間が増えてしまい、仕上がった商品はどれも丸みを帯びたものになるのである。これが子供用の商品だと、あたかも子供のために丸みを付けてあるというようなメーカーもあるが、個人的な意見であるが、これはメーカー都合によるものではないかと考えている。

遊びの質を左右する「適材適所」の判断

積み木に関して言えば(面取り)という言葉があるが、この面取りについては私は必要最低限でよく、過剰な面取りやアール処理は逆に遊びに邪魔ではないかと考えている。

ブナなど広葉樹はそれなりの固さがあるため面取りのサイズ(幅)の調整が可能だが、針葉樹ではそれが出来ない。木の種類は多く適材適所という言葉もあり、どの種類が一番良いかは一概には言えないが、当社の量産品については入手のしやすさ、コスト、加工精度などでブナやラバーウッドがベストではないかと考えている。

文献や人から聞いた話ではなく、実際に自分自身が体感して、初めて分かることもあるという話である。